西部浦高会の創立二十周年、おめでとうございます。イベントや総会等になかなか参加できず、心苦しく思っております。せめてこの機会に、一文寄稿をと思い立ちました。
我が家では、毎年大晦日から三が日に掛けて、娘息子夫婦家族併せて全員集合する習わしとなっており、今では総勢13名となります。本来そこにいるべき家内が12年前に他界して欠けているのは何とも残念ですが。
全員集合はずっと我が家の伝統だったため、以前は、暮近くなると家内があれこれ楽しそうに準備していたものです。私の役割は、鰹節削りと松前漬け作りくらいでした。とは言っても、鰹節は卸したての一本の半分は削るので、結構な労働です。
松前漬けも、昆布とスルメを買ってはさみで千切りにし、漬け汁も自家製です。年によって材料の質の違いによるものか、調理の腕がままならないためか、柔らかくならなくて残念な思いをすることもありました。
いずれにしても、元旦の食卓を飾るおせちの数々と見栄えの良さに、皆、歓声を上げたものでした。
私が取り残された翌年の正月、どうなるものかと思っていましたが、娘二人と嫁、三人が分担して元旦におせちを並べてくれたことには、正直驚くと同時に、家内の遺志が継がれていることに感動を覚えました。
しかも、伊達巻や栗きんとんなど、以前は市販品だったものまで、どこで覚えたか手作りしてくれています。
三人の分業で準備した、ごまめ・黒豆・なます・伊達巻・栗きんとん・野菜の煮物、二段のお重にきっちり詰まったおせちを、孫たちに、まめになるようにとか、よくものが見通せるようにとか、講釈しながら食べさせている娘たちを見ながら、お屠蘇もぐいぐい進みます(笑)。
じいじはおせちは無理なので、晦日の晩御飯にポトフを提供するのが恒例です。
若鶏の丸鶏を一羽切り分けて、大根・人参・玉葱・セロリ・蕪・キャベツ・ニンニクをたっぷりコトコト1時間以上煮込んで、ほんの少しの塩で味付け。天然無添加の鶏ガラスープ(変な表現ですが)でいい出汁がでて、ほっこり暖まる自慢の一品で、皆喜んでくれます。
完全分業の我家のおせち料理に彩られる暮正月は、とても暖まる時間です。