もくじ
  • 【表紙】
  • 【目次】
  • 【巻頭の言葉】
  • 発刊に当たって 戸口 晋 高23
  • 二十周年記念事業 中根 章介 高11(仮)
  • 創立二十周年を祝して 野辺 博 高24(仮)
  • 西部浦高会二十周年によせて 川野 幸夫 高13(仮)
  • 西部浦高会創設のこと 大塚 陽一 高19(仮)
  • 西部浦高会と私 西澤 堅 高11
  • 【第一部】浦高百年の森と
    共に歩む西部浦高会
  • 「浦高百年の森」づくり、に参加して 中根 章介 高11回
  • 浦高百年の森の植物希少種 牧野 彰吾 高14(仮)
  • 百年の森と西部浦高会の歩み

  • ■資料集
  • 【第二部】 座談会
  • 座談会ビデオ YouTube 2023年12月10日
  • 座談会ハイライト
  • 【第三部】 寄稿集
  • [浦高時代の思い出]
  • 教室風景 寄稿サンプル
  • 工芸に明け暮れたこと 寄稿サンプル
  • 片田舎より 髙山英治 高20回
  • 60年前の浦高時代 鈴木立之 高16回
  • サッカーに捧げる! 成井 正浩 高18回
  • 「理科」老教員雑感 江里俊幸 高21回
  • 甲子園で八重雲を 柏木浩太 高60回
  • [近況報告]
  • おせち料理は完全分業 寄稿サンプル
  • 【編集後記】
  • ウェブ記念誌発刊のこと 辻野 淳晴 高31(仮)


教室風景

浦高での日常生活は、ユニークな面が多かった。いくつか思い出してみたい。

「バケツの水」と書くと、ニヤリとする諸兄は多いだろう。
勿論、空調などなかった時代、地球沸騰の今日ほどではないものの、真夏に50名以上もの生徒がひしめく教室の暑さはやはり半端ではなかった。
タオルを首に巻いて授業を受けたり、廊下側・校庭側の窓は無論全開で、風は通るものの、足元の熱気は溜まる一方。そこで、教師から見づらい位置の生徒の何人かは、毎時限、冷たい水に汲み替えたバケツを足元に置き、両足を冷やしながら授業を受けたものである。首のタオルは、万一立って前に出るときなどの咄嗟に、慌てて足を拭くための備えでもあったとか。

雨天、校庭でサッカーが出来ない昼休みなど、好き者が集まってトランプに興じる姿も多かった。
流行りすたりはあるものの、「ナポレオン」は、比較的多人数で遊べて、時間はかかるが人気のあるゲームだった。普段大人しいが、ナポレオンの時は存在感を増すキャラを持った友人もおり、普通のカードゲームと違い、役割分担がはっきりしているこのゲームは、人間性が剥き出しになる面もあり、楽しかった。
ナポレオンを宣言して、もしやあいつが副官ではないだろうな、と思うやつが結果的に副官で、やっぱり大負けしたりして、お互い罵り合ったり、人生ゲームのような面白さがあった。

クラスに囲碁将棋部の部長がおり、彼の主催で、クラス将棋名人戦が開催された。毎日昼休みに、2~3台の将棋盤を挟んでトーナメントで対戦し、筆者は決勝戦まで進んだ。部長が立会人兼記録係を務め、大盤解説こそないものの数人のフアンが囲む公開対局(?)であった。
当時流行の矢倉と美濃囲いの対決となり、美濃で戦った筆者が、実力伯仲のライバルを下し、初代クラス名人に輝いた!
部長がきちんと棋譜を残しており、簡単な感想戦を囲むなど、ある意味本格的な対局経験だった。

奇抜な企画が出て来たりすると、クラス中が夢中になって没頭するような、変った集団だった。
中でも、廊下磨きは出色だった!
美化委員が気まぐれに出した、みんなで廊下を磨き上げようという提案に、早速盛上がり、工程を考え完成日時を決める。物資調達係や作業主任者、歩行者整理員など役割分担を決め、昼休みと放課後、一定時間を使って清掃作業を行なった (誤解のないように書くが、当然、見向きもせずに勉強に没頭している者もいた)。 バケツで水を撒き、洗剤のついたたわしでひたすらこすり、洗剤が消えるまで雑巾で水拭きし、一日の作業区画を完成させるまで続ける。他クラスの生徒が通れるように歩行者通路を設けて、誘導員が誘導する。歩行者通路は日ごとに移し替える。まるで工事現場である(笑)。
他クラスの者たちが何と思ったか知らないし、廊下が少し色が白くなったからって何なんだ、と思うかも知れないが、その夢中さは半端ではなく、今でも同級会での語り草である。



西部浦高会